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飛び降り死した患者さんにひとりで対応

20代の女性

看護の経験:7年
急性期病棟に勤務。その後に何度か転職を経験。


患者さんの飛び下り

ある日、患者さんが窓から飛び降り死亡しました。

私はその当日、夕方からの勤務でした。
勤務に入った直後、「患者さんが飛び降りた」と警備スタッフから内線がありました。

ナースステーションは騒然。
ただその時はまだ、誰が飛び降りたのかは分かりませんでした。

私を含め、2人の看護師が現場の駐車場に急行しました。
駐車場に着くと、小さな人だかりが見え、その少し先に倒れている方がいました。

近くに行くと、血だまりができており、腕や脚の関節が可動域を越えた状態で曲がっていました。

誰がどう見ても、死んでいると分かる状況。
警備スタッフの方も近づけないくらい凄惨な現場でした。

でも私は職業柄、傷ついたご遺体を見るのにはある程度耐性があります。
それでもその瞬間、私は気絶しそうなほど頭が真っ白になりました。

その方は、私の担当患者さんだったのです・・・。

「え!?◯◯さん!?」

同僚の看護師が患者さんに声をかけるも、もちろん返事はありません。
同僚はすぐに医師を呼びに行きました。

駐車場を見下ろせる病室からは、他の患者さんたちが様子をうかがっていたり、周りの人だかりも大きくなってきました。
私は一人残され、現場を離れられない状況が続きました。

「何とかしろ!」

と言う声もありましたが、私には何もできず、ただただ立ち尽くしていました。

そのうち医師が到着し、搬送適応ではないと判断。
その場で死亡が確認されました。

それからは警官が到着し、現場検証と状況確認。
私は担当看護師として立ち会いました。

現場検証後は、ご遺体を検死するため検査室まで搬送したり、現場を清掃したり、ご家族の連絡先を調べたり。
全てが終わったのは深夜3時ごろでした。


(画像は似た病院のイメージです)


自殺の原因は?

その方は、2日前に搬送された「急性膵炎」の患者さんでした。
私はその勤務帯の看護責任者であったため、メインで対応しました。

ただその方は、話をできる状態ではなく、ご家族の連絡先も定かではありません。
「とりあえず一晩入院させて様子を見よう」ということになり、患者さんの事情はまったく分かりませんでした。

入院前は、アルコールを摂取していたようですが、その時は混乱した様子もなく、ぐったりはしているものの、比較的落ち着いていました。

そのため、自殺の原因は定かではありません。
「急な入院がイヤで抜け出そうとしたんじゃ」「意識がもうろうとしてたのかも」といった事故とも考えられます。

でも警察の調査では、原因不明としながらも「自殺」として処理されることになりました。


院内での調査

院内でも原因追及がありました。

まず環境面。
換気のため、窓を開けておくことが多くありました。
そのため窓が少ししか開かないよう改修されることに。

次に担当看護師(つまり私)
急患であっても、速やかに家族背景やその人の問題を把握する必要があった。
それを怠ったのは大きな問題であるとされました・・・。

確かにその通りだと思います。
私はご家族への連絡を怠りました。
猛反省すべき点です。

ただ実情として、一人の看護師が10人以上の患者さんを担当しているため、時間的に不可能でもあります。
また患者さんの意識がはっきりしない段階で、ご家族の連絡先を調査するのは、物理的に不可能でもあります。

という背景もあり、上司である師長や主任は「人手不足が最大の原因です」と訴えてくれました。
でも結局、私の怠慢という結論は変わりませんでした。

「ちゃんと見てたのか!?」
「サボっていたんだろう?」
「何年看護師やってるの?」
「そのくらい気が付かなきゃダメ」
「精神的なケアしてなかったの?」

私は連日の調査で責められ続けボロボロに。

すべての責任は担当看護師にあると結論付けられました。
その結果として「急患であっても必ず12時間以内に家族に連絡を取る」というルールも作られました。

看護師になって5年間。
全力で走ってきたつもりでした。
手を抜いたことは全くありません。
不真面目なスタッフを注意してウザがられるような役回りでもありました。

「私は頑張っている」
辛い仕事の中、それだけが誇りでした。


(熱血だった頃の私)

でもその誇りはただの自己満足。
全て否定されたと感じました。

もちろん私個人としての責任は大きいです。
患者さんの命が無くなったのです。
猛反省です。

それに病院が必死に火消しようとするのも理解はできます。
地方の中核病院にとっては、地元の評価こそが重要。
でもこういった事故はすぐにニュース報道されるため、病院の評判はガタ落ちになります。

それを少しでも防ぐには、原因を個人に帰属させ、その対策を早々と打ち出すのがベストでしょう。

病院の出した結論に不満はありません。
それよりも自分の行動を猛反省するだけです。


その後

私は仕事を辞めました。
理由は単純に疲れたからです。

もちろん「そんな理由で?」「不謹慎では?」と悩みもしました。
だけど「私は何を守っているんだろう」とも思いました。

5年間必死に走ってきて、身も心もボロボロで本当に疲れて果てて。
それでも辞める理由にはならず、ただ走り続けていました。

「優秀な看護師像としての私」を守ろうとしていたのかもしれません。

「私は特別な何かにはなれない」
「優秀じゃなくてもいい」
「自分のやりたいように生きてみたい」

そう思うようになっていました。

「それは逃げてるだけ」と言ってくれる人もいました。

その通りだと思います。

でも逃げてもいいかな、とも思いました。
何のために戦うのか?
守るべき大切な物はすでにないのですから。


新天地にて

私はその後、別の病院に転職しました。

次は内科系の慢性期病院。
急性期とは違い、患者さんとの付き合いも長くなります。
患者さんの懐に飛び込むことが多くなりました。

以前のようにバタバタと走り回るより、自分にはこっちの方が合っていると思いました。

残業もかなり減り、無理して休日出勤することもありません。
連休を取って旅行に行く、なんてこともできるようになりました。


(一人旅が趣味に)

全てにおいて前の病院とは別世界。

にもかかわらず、給料は今の方が高いのです。
月にして2万円ほど。
ボーナスを含めれば年間40万円以上高くなりました。

今になって思うのは「なぜあの病院にしがみついていたのだろう?」と。

もちろんハードな職場だからこそ学べることは多くあります。
いま私が看護師として働けているのは、あの病院のおかげです。
それはとても感謝していますし、当時の同僚や師長とは今でも連絡を取っています。


(たまに当時のメンバーで集まっています)

でもそれはしがみつく理由にはなりません。

ただ単に世間知らずだったのです。
世の中を知らず、自分自身のことも知らなかったのです。

若いうちに色んな職場を見て、どんな病院があるのかを知り、自分の適性を知ったほうがいい。
1つの病院にしがみつくより、よっぽど看護師として長生きできると思うのです。

看護師の待遇は、病院によって全く違います。

人手不足な病院ばかりですが、一部そうではない病院もあります。

そういった病院は、看護師にとって非常に恵まれた環境です。
社会人として上手に生きていくには、そういった病院を見つける方法も学ばなくてはいけません。

それを学ぶには、まず転職サイトを利用してみてください。
良い求人は転職サイトに集まっています。

もちろん全ての転職サイトがそうとは限りません。
ブラック病院を専門に扱うサイトもあると聞きます。

私が利用したサイトは、そういった意味で大正解でした。

※追記
▶私が利用した転職サイトへ


担当者の方はとても丁寧に対応してくれる女性でしたし、何よりも今の病院を紹介してくれました。

給料が良く、休みも取りやすい。
こういった病院は人が辞めず、子育ての後の復職も多く、なかなか求人が出ません。

コネがあるとは言っていましたが、たぶんそうなのでしょう。
良い求人は集まる所には集まるようです。

良い物を探したいなら、良い物が沢山ある場所で探した方が効率的ですし、確率も高くなります。
そうした大人の事情を知れたのも、転職サイトを使ったおかげだと感じています。

「悩んでいる時はとにかく行動してみる」

仕事で悩んでいるなら、なにかを始めてみましょう。

例えば転職サイトに登録してみてください。
必ず世界が広がるかと思います。

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私はそういった意味でも力の抜きどころが分かってきて、楽に生きられるようになったなと思います